第26回「タウリン」

タウリンは、体重60kgの人の体内には、60g含まれている含硫有機化合物です。構造式は、下記図に示します。インターネット上の情報を見ると、「タウリンはアミノ酸の一種で」などと書かれていますが、これは間違いです。カルボキシル基を持っていないので、アミノ酸の一種にはなりません。体内には遊離化合物の状態で、主に心臓や肝臓に存在します。

イカ、タコ、カニ、エビ、カキ、サザエ、ハマグリなどのお馴染みの食材に多く存在しますが、人体内で合成することもできます。

このタウリン、実は処方箋医薬品にもなっています。高ビリルビン血症(黄疸になる)における肝機能の改善、うっ血性心不全における心筋収縮能力の改善です。治療に用いる時は、1日に3gほど摂取します。

ネコは、自分の体内でタウリンを合成することができません。だから、ネコの餌にはタウリンが含まれています。ネコにタウリンを与えなければ、心不全を発症します。心臓に対するタウリンの影響は間違いないものです。

心不全の治療薬にもなっているくらいですので、注目してほしいのは心臓への効果です。高齢になって疲れやすいという時、心臓の機能の低下によることがしばしばです。特に、筋力はまだまだ自信があるのに、階段や坂道を登っていると息切れしやすいという時は、軽度の心不全の可能性があります。

タウリンの利用価値は、その辺にあるように思います。