第7回「DNJ(1-デオキシノジリマイシン)」

第4栄養素の一つとして聞きなれない成分名を出しました。「桑の葉の成分」といえば、ピンとくるでしょうか。

ご飯、パン、麺などの炭水化物を食べると、唾液や膵臓から分泌されるアミラーゼという酵素が働いて、その炭水化物がどんどん分解されます。炭水化物はもともと糖の集合体ですから、分解されると、だんだんと丸裸のブドウ糖になっていくのです。ブドウ糖が2個つながっているのを二糖類、数個つながっているのをオリゴ糖といいます(ブドウ糖以外にも糖類はありますが、説明の便宜上、「ブドウ糖」とのみ記します)。

アミラーゼは炭水化物を分解しますが、実は、大きな分子である炭水化物を二糖類にまでしか分解できないのです。二糖類を単糖類へと分解するのは、小腸に存在する別の酵素で、この酵素を、「α-グルコシダーゼ」といいます。

α-グルコシダーゼが二糖類を分解して、単糖類であるブドウ糖(グルコース)を作り出し、そのブドウ糖が小腸から吸収されて、血液中に糖が現れるのです。こうして、栄養分が体内に取り入れられるのですが、これにより血糖値が上がります。
α-グルコシダーゼの作用を抑えると、二糖類が分解されなくなります。小腸は、二糖類を吸収することができないので、そのまま大腸に流れ込みます。つまり、血糖値が上がらなくなるのです。

大腸では、やはり、この二糖類を吸収することなく大腸内の細菌に分解されて、水と二酸化炭素になります。水は便を柔らかくし、二酸化炭素は大腸の運動を促進させます。つまり、便の腸内通過時間が早くなるのです。

桑成分のDNJは、このα-グルコシダーゼを抑える作用を持っています。だから、血糖値の抑制と同時に、食べた物の腸内追加時間を早め、便秘を解消する作用を持つのです。α-グルコシダーゼの作用を抑える成分は、通常は医薬品になっています(「グルコバイ」「ベースン」など)。しかし、桑は、鎌倉時代から食用・飲用として、日常生活に溶け込んでいますので、健康食品として利用できるようになっているのです。