第30回「ビタミンK」
脂溶性ビタミンの一種であるビタミンKは、ビタミンK1~K5まで5種類が存在します。食事で摂取できるのは、ビタミンK1とK2です。ビタミンK1は、人体内でビタミンK2に変換されて作用します。
ビタミンK1は、植物が光合成を行うために使われるので、シソ、春菊、ほうれん草、小松菜、ブロッコリーなどに多く含まれており、それ故に、市販されている青汁に多く含まれていることになります。ビタミンK2は鶏卵に含まれていますが、微生物から合成されるので、納豆に異常に多く含まれています。
人体内におけるビタミンKの役割は、血液凝固と骨の合成です。
ケガをすると出血します。このメカニズムは、第1段階で血小板が凝集してふたをすること、第2段階は、血液凝固因子が集まってきて固めることです。血液凝固因子は肝臓で合成されますが、そのためにはビタミンKが必要です。
もう一つは、骨の合成です。具体的には、オステオカルシンというタンパク質を活性化させて、カルシウムを骨に沈着させることです。
ビタミンKが欠乏すると、血液凝固因子が不足し、出血しやすくなります。また、骨が脆くなります。
緑黄色野菜、青汁や納豆でしっかりと補充できるので、ちょっと意識すれば欠乏症になることはありません。なお、ワーファリンなどの血液凝固を抑える薬を内服している場合は、ビタミンKを取り過ぎてはいけません。せっかく薬を飲んでいることの意味がなくなってしまいます。
一般に、ビタミンKの過剰摂取の健康被害はないといわれていますが、私はそうは思っていません。
子供の背が伸びる経過の中の「止まりゆく3年」で納豆をたくさん食べると、背の伸びが悪くなります。イソフラボンの影響も大きいと思っていますが、ビタミンKの作用で骨端線部の軟骨細胞が、十分に肥大化する前に骨化している可能性があるとみています。
子供の身長発育の最後の段階での伸びをロスさせるのは、過剰症というべきものかもしれません。