第15回「ビタミンB6」

タンパク質は、大量のアミノ酸がつながってできています。このままでは分子が大きすぎるため、一度バラバラにされて小腸から体内に吸収されていきます。アミノ酸は体中を巡り、細胞に取り込まれた後自分の遺伝子に応じて、再び他のアミノ酸とつながっていきます。
この分解と合成になくてはならないのが、ビタミンB6です。アミノ酸をバラバラにする酵素の役割。遺伝子に沿って別のアミノ酸に組み替える酵素を助ける補酵素の役割。さらに、体内で余ったアミノ酸をエネルギーへと変える働きもあります。
このように、タンパク質の代謝には欠かせない栄養素ですので、摂取するタンパク質量に応じた分量が必要になってきます。日本では食の欧米化が進んで肉をよく食べるようになって、ビタミンB6の働きも注目されるようになりました。

ビタミンB6が不足してアミノ酸の代謝がうまくいかなくなると、体中様々な不都合がおきてきますが、皮膚と粘膜には直撃です。皮膚炎、口角炎、舌炎、口内炎、目・鼻・耳などに脂漏性皮膚炎、それに吹き出物ものやニキビができやすくなります。
神経に関わる症状もたくさんあります。痙攣、しびれ、倦怠感、食欲不振、不眠、情緒不安定…。ドーパミンなど神経伝達物質の合成時にはアミノ酸が使われますが、ビタミンB6が不足しているとこの代謝がうまくいかなくなり、中枢神経が異常をきたすためです。

不安を掻き立ててしまいましたが、ビタミンB6は腸内細菌によって少量ではありますが、私たちの体内でもつくられて、一般的には不足しにくいそうです。ただし、女性は月経前の排卵期になると血中ビタミンB6濃度が著しく低下し、イライラや吐き気、頭痛やだるさなどの一因であることがわかっています。つわりの一因としても指摘されています。

たくさん含まれる食べ物は、牛レバーやマグロ、カツオそれからニンニクなどがあります。「レバーにニンニク。魚も食べない」とため息をついてしまった方に、とっておきのB6食品があります。それは、バナナです。大きめのバナナを2本食べると、1日に必要な推奨量(1.4mg)を摂ることができるそうです。