第33回「食物繊維」

ブドウ糖や果糖などの糖分子は、人体にとって重要な栄養源ですが、ある特殊な結合をすると人体内で消化することができなくなります。そのようなものを、食物繊維といいます。通常的に表現すれば、「人の消化酵素で消化されない、食品中の難消化性成分の総体」ということになります。

米、麦などの穀類、イモ類、豆類、木の実、キノコ類、野菜に多く含まれており、魚類、貝類、肉類、乳製品には、まったくといっていいほど含まれていません。

食物繊維は、食道、胃、十二指腸、小腸を素通りして、大腸にたどり着きます。大腸では水分を引き込んで膨張しますので、便秘の人にはある程度の効果をもたらします。また、大腸内では、腸内細菌に分解されてガスを発生します。そのガスが大腸運動を高めるので、腸の健康保持には重要な成分ということになります。

食物繊維は、摂取後、しばらく胃にとどまって膨張します。この時に軽い満腹感を作り出します。また、ゆっくりと十二指腸に送り込まれますので、食物中の炭水化物の消化吸収を遅らせ、血糖の急上昇を抑えることができます。以上の2点から、使いようによっては、ダイエットや糖尿病予防に効果的です。

昼食や夕食の少し前に多めの野菜を食べておくと、腹八分目の健康管理には有用かもしれません。ただし、ドレッシングのカロリーには気を遣ってほしいものです。