第31回「ビタミンE」

最近、健康関連で「酸化ストレス」という単語をよく聞きます。酸化の影響で「さびる」などと表現されますが、一体どういうことなのでしょうか。

「酸化ストレス」とは、一言で言えば、「過剰酸素が体内で余計な化学反応を起こさせる」ということで、その結果、細胞膜と核酸に障害が発生します。過剰酸素が原因ですから、激しく運動するスポーツ選手は、酸化ストレスを強く受けているわけで、だから、平均寿命が短いといわれています。

細胞膜は、脂質二重膜という脂肪の膜でできています。ちょうど水玉を脂肪の膜で覆っているのが一つ一つの細胞という感じです。この脂肪膜に障害が発生すると、炎症的な状況が生まれます。障害を発生させる大きな原因が活性酸素で、それが膜の中に過酸化脂質を作り出し、炎症を惹起します。血管内皮細胞でその炎症が発生すると、動脈硬化が促進されます。
細胞の核の中に収められているDNAは、核酸でできています。核酸も酸化ストレスで障害を受けると、突然変異を起こし、ガンの原因となります。
つまり、酸化ストレスが、動脈硬化とガンの一員になっているというわけで、酸化ストレスを抑える栄養成分は「抗酸化作用を持つ」といわれ、自動的に「健康にいい」ということになります。

酸化ストレスを抑える代表が、ビタミンEです。ビタミンEはアブラの中に溶け込みますから、日常生活では、自然にかなりの量を摂取できています。特に多い食品は、アーモンドです。不足すると、手足の冷えなどが発生します。不足することや過剰になることは滅多にありませんが、アブラを摂取しないやせ型の人は不足してもおかしくないので、手足の冷えで悩んでいる人は、試しに、ビタミンEを多めに摂ってみるといいかもしれません。