第3回「亜鉛」
亜鉛といえば、インスリンの合成や精力維持に重要なミネラルと思っている人が多いようです。少し詳しい人は、不足すると、味覚障害、妊娠異常、免疫力低下、脱毛が生じるということをご存じかと思います。しかし、実は、そのようなレベルとは比較にならない、もっと重大なことがあるのです。
学校の運動場では、中学生や高校生が激しく運動をしています。汗まみれになって、ファイトいっぱいで運動している子供の姿を見ると、ふと、「亜鉛は大丈夫かな?欠乏していないかな??」と心配になります。
亜鉛は、人体に必須のミネラルの一種ですが、200種もの酵素の構成成分となり、タンパク質の合成に必須で、また、リン酸エステルの加水分解酵素に関与しているため、細胞分裂の際には欠かせない成分なのです。
タンパク質合成に欠かせない、そして、細胞分裂にも欠かせない、ということは、子供の身体の発育に大きく関与するということです。従って、亜鉛が不足すると、成長障害が発生し、背の伸びが悪くなります。
ところで、この亜鉛は、汗の中に多量に排出されます。人体には、2gの亜鉛がストックされていますが、毎日、汗まみれになって運動すると、体内不足が生じます。食事で摂取するには、牡蠣やレバーが有効ですが、それをたくさん食べる子供はなかなかいません。
また、加工食品に多く含まれるフィチン酸は、亜鉛の吸収障害をもたらします。その加工食品の摂取量が増えているのも、現世の実情です。
ハードに運動している子供で、背の伸びが悪い場合は、「もしかして亜鉛不足では?」と疑う気持ちが必要です。