第20回「コレステロール」

栄養過剰気味の日本では、血中のコレステロールが増えすぎることが多く、コレステロールは悪者扱いされています。しかし、コレステロールは身体を構成する重要な成分であり、栄養素であることを忘れてはいけません。栄養不足の国では、コレステロールが不足して死亡することもあり得るのです。日本でも、戦後すぐの頃は脳出血で死ぬ人が多かったのですが、タンパク質不足やコレステロール不足が関与していました。コレステロール値が、180㎎/dl以下の場合は、その数値を高める食生活を意識してください。

食品そのものに多く含まれているのは、何といっても卵の黄身です。それ以外の食品では、魚卵やレバーに含まれていますが、毎日大量に食べることはまずないので、肝臓での体内合成量を考えると、あまり問題になりません。

コレステロールの大半は、人体の肝臓で合成されます。飽和脂肪酸を摂取すると、肝臓での合成が高まり、コレステロール値は高くなります。

ところで、肝臓でのコレステロール合成を阻害すると血中コレステロール値は下がりますので、その薬があります(スタチン系薬剤)。

しかし、健康管理学的には、コレステロールを下げたい場合でも、副作用の問題と薬の効果的な意義を考慮すると、その薬を使用するべきではありません。コレステロールは肝臓から腸内に排泄され、その腸から吸収されて血液中に出る、というのを繰り返しています(腸肝循環)ので、腸の中でコレステロールを捕まえて、便の中に輩出してしまう薬なら安心して利用できます。