第17回「カテキン」

寿司を食べた時の食後に、「あがり」という濃いお茶が出てきます。これはまさに、生活の知恵です。食中毒を起こすいくつかの菌に対して、緑茶の成分が殺菌作用を持っているのです。

その成分がカテキンといわれるもので、渋みの元のタンニンの主成分です。カテキンが重合してタンニンになります。カテキンは、茶葉の総重量の約20%を占めますが、紅茶においては、発酵過程で別成分に変化してしまいます。日本の緑茶独特の成分と理解してよさそうです。

カテキンには実際の薬理作用が認められ、大量に摂取すると肝障害を発症するリスクが知られています。薬理作用としては、血圧、コレステロール、血糖値など、生活習慣病のほぼすべてに予防効果が認められています。脂肪分解系の酵素を増強する可能性も報告されており、ダイエット効果もあるとされています。また、抗菌作用はよく知られており、食中毒の防止、虫歯の予防に一定の効果を認めます。

しかし、第4栄養素として最も注目したいのは、各種のウイルスが人体の粘膜に付着するのを防止する作用です。会社の中で風邪を引いている人がいる時には、社員全員で濃い緑茶をすするのが最大の利用方法のように思います。