第12回「ポリフェノール」
ポリフェノールは、最近注目を集めている栄養素です。野菜や果物、豆類のほぼすべてに含まれている植物由来の化学成分です。私たちが野菜や果物を食べる時に色や香り、苦味や辛味、渋味として感じているものがそれです。水溶性と脂溶性の中間の構造を持ち、なんと5,000種以上もあるといわれています。
炭水化物やタンパク質のように、摂らなかったからといって体に害が及ぶというものではありませんが、抗酸化作用をはじめ、抗ガン作用、免疫力の強化などにも効果があるとされており、セラミドの再生等容姿、体力、意欲の回復の分野でも期待されています。
私たちは日差しが強かったりしたら日陰にでも隠れるでしょう。植物にはそれができません。強烈な紫外線ビームをくらって発生した活性酸素から、自分の身を守らなければなりません。また害虫や病原菌の外敵も迎え撃たなければなりません。植物は生きのびるために抗酸化作用や抗菌作用を発揮するポリフェノールを、自らの体内で作り出しているのです。これらを摂取した私たちも、抗酸化力や免疫力をアップさせることができるのです。
ポリフェノールが一躍有名になったきっかけは、1992年に発表された学説でした。肉や乳脂肪をたくさん摂る欧米諸国では典型的なアラキドン酸体質をつくりますから、動脈硬化による心臓疾患、脳疾患の発症率は非常に高い数値を示しています。ところが一国だけ例外の国がありました。意外にもフランスだったのです。フランス料理といえばバターやクリームたっぷりを連想しませんか。この現象は、フレンチパラドックスと呼ばれて長い間謎でした。この答えを出したのが赤ワイン、その中に大量に含まれるポリフェノールだったのです。強い抗酸化作用が発揮され、これが活性酸素から体を守り、動脈硬化を防いだとされています。
ポリフェノールをさらに細分類すれば、カテキン、タンニン、アントシアニン、インフラボン、セサミン、クルクミンといった、みなさんがどこかで耳にしたであろう名前が並びます。どれも第4栄養素の名に恥じない、頼もしい仲間ばかりです。この連載でも順次ご紹介していければと考えています。