第10回「カルシウム」
スナック菓子のロングセラーにかっぱえびせんがあります。♫やめられない とまらない のキャッチコピーで、一世を風靡した国民的菓子です。そのえびせんが、カルシウム菓子を売りにして世に登場したことは、あまり知られていません。あの中にはエビが殻ごと練り込まれていて、それが多量のカルシウムを含んでいるのです。このえびせんのメガヒットで、カルビーは全国区の菓子メーカーへと成長したわけですが、そもそも社名の「カル」は、カルシウムからとったものだそうです。
カルシウムの働きで私たちが思い浮かべるのは、骨や歯の形成です。体内にあるカルシウムの99%は、骨や歯の成分になっています。でも実はそれ以外にも、イライラやストレスを静め、神経を安定させる。筋肉(平滑筋を含む)の収縮。体内浸透圧を一定に保つ。血液の凝固促進作用。心筋機能の正常維持。抗アレルギー作用などなど、私たちの知らないところで一生懸命に働いてくれているのです。
さらに私たちは、大事な恩恵を被っています。免疫力です。細菌やウィルスが体内に侵入すると、カルシウムイオンが細胞に情報を伝達します。この情報伝達によって、細胞内でつくられた免疫の抗体が撃退します。ですから、カルシウム不足が慢性化すると体内のカルシウムイオンが不足してしまい、免疫反応の防御システムが上手く働かなくなるのです。免疫力は低下し、風邪をひきやすくなったり、癌のリスクも高まります。
ダイエットにおいても、このカルシウム不足は命取りになります。減量の過程でしっかり摂取していかないと、風邪をひいてそのまま挫折なんていうケースが当院でもまま見られました。スナック菓子や牛乳で摂るのも一方法かもしれませんが、アラキドン酸体質をつくるリノール酸や、コレステロールの原料となる飽和脂肪酸など余計なものまでが体内に入ってきてしまいます。本末転倒にならぬよう、栄養素の摂取時にはそこにご注意を。