第35回「DHA(ドコサヘキサエン酸)」
DHA(ドコサヘキサエン酸)は、EPAとともに魚油に多く含まれる成分です。特に、いか、さば、まぐろに多く含まれています。
植物性脂肪でも、シソ油、エゴマ油、アマニ油の3種類はα-リノレン酸を多く含み、それを摂取すると、体内の長鎖化の化学反応により、EPAを経てDHAが生成されます。
人体内では通常この反応が進みますので、血液中のDHA濃度を高めたい場合は、α-リノレン酸やEPAを摂取すればいいことになります。もちろんDHAそのものを摂取しても有効です。
摂取したDHA、あるいは体内でEPAから変換されたDHAは、人体内では脳や網膜に移行されるので、その両者に多く含まれています。
ラットを用いた実験では、DHAを与えない食事において記憶学習能力が低下することが示されていますので、脳内のDHA量と記憶学習能力に関係があることが示唆されています。
また、サルを用いた実験では、光刺激を与えた後の暗さに対する反応にDHAが利用されることが示唆されています。つまり、明るいところから暗い所に移動した時、網膜の細胞がその暗さに適応する瞬間に、DHAが関与しているということです。
脳と眼に好影響を与えますので、特に現代的には、前駆物質であるEPAやこのDHAそのものを、積極的に摂取することは有意義だと思います。