第19回「ビタミンD」

ビタミンとは、体内で合成できない微量栄養素のことをいいます。ビタミンDは、皮膚に紫外線があたると、コレステロールを原料として皮膚内で合成することができますが、体内合成量だけでは絶対に不足するので、ビタミン群に加えられています。

腸からのカルシウムの吸収を高めるのに必須の成分で、骨を丈夫にする役割を持っています。その骨にも作用して、血液中のカルシウム濃度を維持します。魚介類に多く含まれ、さけ、ます、にしん、うなぎ、からすみ、しらす干し、イクラなどに多いと思ってください。高齢化社会の進行に伴い、骨粗しょう症の予防が重要になっていますので、ビタミンDをサプリメントで摂取している人が増えています。

ビタミンDは、脂溶性ビタミンの一種です。脂溶性というのは「油に溶ける」という意味ですが、これは体内で貯蔵できるということを意味しています。人体では、主に肝臓に貯蔵されています。肝臓から放出されたビタミンDは、腎臓で活性化され、全身のいろいろな細胞に作用します。この「作用」はいろいろ研究されており、免疫力を高める、ガンを予防する、動脈硬化を予防するなどいろいろな研究報告がありますが、どの報告を信じていいのかよくわかりません。

体内で貯蔵できる成分の場合は、サプリメントなどで摂りすぎた場合の過剰症を念頭に置かなければいけません。ビタミンDは腸からのカルシウムの吸収を高め、また、骨からのカルシウムの血中への動員を行いますので、ビタミンDが過剰になると、血液中のカルシムが増えすぎて、肝臓や腎臓、その他の臓器へのカルシウム沈着と、神経反応の過敏や不調をもたらします。

具体的には、肝機能障害、腎障害、尿路結石、易刺激性(不機嫌)、腹痛、発熱、発疹、かゆみ、吐き気または嘔吐、食欲不振、便秘、虚弱、疲労感、睡眠障害、歩行困難、体重減少、貧血、脱毛、けいれん、昏睡などです。

要するに、「サプリメントでカルシウムを摂っている人で、どこがどうというわけではないが体調が悪い」となれば、カルシウム過剰症を一応考えます。

1㎍=40IUという単位設定になっており、250㎍=10000IU以上の摂取までは過剰症のリスクは低いと考えられていますが、長期摂取している人は、過剰症を念頭に置くようにしてください。